WEBで見つけた気になる記事を載せました。
◆心筋梗塞や認知症は「葉酸」で予防しましょう ◆
女子栄養大学副学長 香川靖雄
私が埼玉県坂戸(さかど)市にある女子栄養大学に着任した1998年、アメリカとカナダですべての穀類への葉酸の添加が義務付けられました。
これに衝撃を受けたことが、私が葉酸の研究を始めたきっかけでした。
葉酸はビタミンBの一種で、不足すると胎児の二分脊椎症(神経の先天性の障がいの一種)や脳卒中、心筋梗塞や認知症などの原因となることが確認されています。
いちはやく葉酸の添加を義務付けたアメリカ・カナダでは、現在、先ほどの病気の患者数が減少し、今では世界の82か国が葉酸の効果を認めて、穀物への添加を義務付けています。
ところが、こうした取り組みは、日本では今も行われておらず、国民の葉酸摂取量は年々減少していることが分かっています。
ある日の新聞に「今後、埼玉県の認知症患者数は、日本で一番増えるだろう」という記事が載りました。それを見た私や、坂戸市役所の皆さんは、「なんとかしなくては」と危機感を抱きました。
それで、坂戸市と女子栄養大学が共同で2006年に「さかど葉酸プロジェクト」をスタートさせたのです。
プロジェクトでは、1日に400マイクログラム(1マイクログラムが100万分の1グラムにあたる。)の葉酸を摂ることを勧め、食生活の改善などの指導を行っています。
日本人の約15%は遺伝的に葉酸がかなり欠乏しやすい体質です。やや欠乏しやすい人まで含めると、日本人の約6割が葉酸が欠乏しやすい体質であることが分かっています。
このような人たちは、日本で決められている、1日240マイクログラムの葉酸摂取量では足りません。
WHO(世界保健機関)や多くの国では400マイクログラム(妊娠中の女性は600マイクログラム)と規定されていますので、こちらを目安にしてみてください。
葉酸が多く含まれている食品として、ブロッコリー、ほうれん草、アスパラガス、芽キャベツやパセリなど緑の野菜を挙げることができます。それから海苔、枝豆もいいですね。
葉酸はお茶にも含まれますが、光で分解されるため、ペットボトルのお茶には葉酸があまり含まれていません。なので私は、急須でお茶をいれることをおすすめしています。
さて、いくつかの食品をご紹介しましたが、これらだけで目標の葉酸400マイクログラムを摂るのはなかなか難しいです。
例えば茹でたほうれん草100グラムには100マイクログラムの葉酸が含まれていますが、茹でたほうれん草を400グラムも毎日食べるのは不可能でしょう。そのため、世界各国で穀物への葉酸の添加が行われているわけです。
そこで私たちも企業や地元のパン屋さんと一緒に「葉酸米」や「さかど葉酸ブレッド」を開発しました。「葉酸米」はインターネットでも購入できます。
もちろん葉酸さえ摂れば必ず健康になれるわけではありません。カロリーや塩分などにも気を付けながら、ぜひ「毎日400マイクログラムの葉酸を摂る」を、目標にしてくださいね。
2019年12月2日
(みやざき中央新聞より)
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